ゴマの草丈は成長すると1メートルから1メートル50センチになり、美しい薄紫色の花に 砂浜の砂の数ほどに多数の種子を実らせます。 砂浜の砂の数ほどにとはさすがに言いすぎですが、夜空に浮かぶ星の数ほどには 実をつけます。 乾燥には強いですが多雨に弱く、温かい気候の国で多く栽培されていますが日本でも 北海道のような寒い地域を除いて全国的に栽培されています。 ゴマの品種は種皮の色によって区別され、白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマに分けられますが これ以外にも熱帯性のものや湿帯性のものといった分類もされており、細かく分類 すると約3,000種以上にもなります。 よく見るのは白ゴマでその次に黒ゴマ、一番レアでなんとなく高貴な雰囲気を感じ させるのが金ゴマではないでしょうか。 この金ゴマは日本ではあまり流通しておらず、ゴマ全体の消費量の1%にすぎません。 群馬県や栃木県などごく一部でしか食されておらず、地域によっては周りの人に 聞いても金ゴマの存在すら知らない、と言われるかもしれません。 それだけレアな金ゴマなのですがやはり食通のグルメな方々には知られており、 需要もそこそこにはあるので今後も全くみかけなくなるという可能性はあまり低くも ないでしょうから、全国の金ゴマファンの方は心配しなくても大丈夫です。 主にトルコで栽培されている金ゴマは名前に金がついていることもあり、それだけで ついついありがたがってしまいます。 縁起もよさそうですのでこれからもちょっとしたイベントで使ったり、記念日には 金ゴマを使った料理をふるまうなど、活躍してもらいたいですね。
白ゴマはマイルドでソフトな風味なのが我々に受けているのか日本で一番普及 しており、ごま和えやごま豆腐など食材の風味を生かす料理、特に和食に多く 用いられているので日本人にはとても馴染があるでしょう。 全国に流通しているゴマの7割以上が白ゴマで、この数字はそれだけ白ゴマが他の色 のゴマよりも日本国民に好まれているという証拠にもなります。 欧米でも特殊な環境以外では白ゴマしか流通しておりませんし、世界規模で見ても 食べやすい、扱いやすいのがこの白ゴマということでしょう。 油の含有量は金・白・黒の順に多く、天ぷらを揚げるのに使われるゴマ油は白か金色 のゴマから精製されます。 天ぷらという料理は油の質によって味が大きく変わり、よい油とよい食材が揃うと 食べるだけで幸せな気分になる極上の料理になります。 もちろんいい油だからといっていつまでも使い続けていたら劣化してしまうので、 おいしい天ぷらのためには何度か使った油は交換する必要はあります。 抹茶塩など塩で食べさせる天ぷら屋ならきっと素材にも拘っているでしょうし、 上質ないい油で揚げていて、油が痛んできたら交換して常にいい状態でお客さんに 料理を提供しているでしょう。 揚げ物では油が味を大きく左右するので、脂っこいものを好んで食べていそうな 欧米人にとっても油の質は気になる部分で、だからこそ世界的にも白ゴマが一番流通 しているのかもしれません。
黒ゴマは白や金ほど流通していませんが関東地方では半分近く、約40%のシェア をほこり決してぞんざいに扱えるものではありません。 国内全体でみると2割もありませんが白ゴマでは代用できない、黒ゴマでなければ! という使われ方もありますし、黒ゴマの需要が0になることはないでしょう。 特徴は香りが強く独特の風味を持つことで、オニギリや赤飯にかけるゴマ塩には ほぼ間違いなく黒ゴマが使用されるでしょうから、一度もみたことのないという人は 日本人の中にはいないかもしれません。 おめでたい席で食べられるお赤飯にはゴマ塩が当然のようにセットになっていますが、 ここで黒が選ばれた理由は香りの良さがあるのでしょう。 流通量の多い白は黒に比べて香りがやや弱く、ゴマ風味を思う存分楽しみたい人に とってはやや不満のある組み合わせになります。 煎りゴマでなく切りゴマを使えば白でももっと香って風味も出るのですが、縁起物 の赤飯ですので切りゴマはご法度です。 切っていると風味は良くなってもおめでた気分に水をさしてしまい、結婚式では 2人の別れを暗示することにもなり式場がパニックになってしまいます。 最初から誰にも望まれない結婚ならそれはそれでありかもしれませんが、そんな レアケースでしかお赤飯に切りゴマを使うことはないということで、ほとんどの 赤飯には黒い煎りゴマを使うのが一般的でしょう。 真っ二つに切らなくてもゴマのいい匂いがする黒ゴマはそれだけで重宝されるのです。